MOE - Ligand-Based Design
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title:{概要}
多くの医薬分子設計プロジェクトにおいて、手がかりとなるタンパク質-リガンド複合体の三次元構造がないことがあります。 生物学的ターゲットが不明なこともあります。タンパク質構造がない場合は、リガンドのSAR データを利用して、活性に必要な部分構造や化合物系列の「ファーマコフォア」を推測します。構築したファーマコフォアモデルは、化合物の配座解析ライブラリーから医薬品候補化合物をスクリーニングするために利用したり、バーチャルライブラリーを生成する際のフィルターとして利用したりできます。

title:{低分子のアラインメントと重ね合わせ}
Flexible AlignmentとMolecule Superpose
Flexible Alignmentは、複数の低分子を自動で重ね合わせる機能です。各分子のもつ水素結合アクセプター/ドナーなどの特性がより良く重なるように配座を変化させたフレキシブルな重ね合わせを行います。分子配座や一部の原子座標を固定した重ね合わせ、テンプレート構造を使用した重ね合わせも可能です。得られた重ね合わせは特性の重なりとひずみエネルギーで評価されます。その他の機能として、基準の分子に対して、複数の手法(分子構造全体、任意のフラグメント、SMARTS、類似3原子、分子配座)に基づいてデータベースの分子を連続的に重ね合わせるMolecule Superposeがあります。

title:{ファーマコフォア解析とスクリーニング}
活性化合物から活性発現に関与すると予想される官能基特性(フィーチャー)を抽出し、その3次元的配置でモデル化したものをファーマコフォアモデルと呼びます。相互作用や活性に重要な特性を配置したファーマコフォアモデルを構築してデータベース検索を行うことで、立体配置の適合する化合物を検出できます。in silicoスクリーニングの手法の一つとして、Ligand-Based Drug Designにおいて利用されます。

ファーマコフォアの自動抽出機能による共通フィーチャーの抽出から、リガンド形状、SMARTSなどを組み合わせたフィーチャーの定義まで、柔軟なファーマコフォアモデルの構築が行えます。精度良く化合物を分類できるファーマコフォアモデルは、化合物構造のスクリーニングだけでなく、リガンド候補構造の設計指針としても有用な情報を提供します。
ファーマコフォアモデルの作成・編集
各官能基の位置に表示される水素結合供与体/受容体やその投影点、陽イオン、陰イオン、疎水性、芳香環中心などを表す球(フィーチャー)を選択して配置することでファーマコフォアモデルを作成します。受容体構造による立体障害領域やリガンドの外形を表す領域、リガンド原子が存在すべき領域を考慮した体積の拘束条件も追加できます。フィーチャーはSMARTSパターンを組み合わせて官能基や原子種を厳密に指定できます。各官能基の位置に表示される水素結合供与体/受容体やその投影点、陽イオン、陰イオン、疎水性、芳香環中心などを表す球(フィーチャー)を選択して配置することでファーマコフォアモデルを作成します。受容体構造による立体障害領域やリガンドの外形を表す領域、リガンド原子が存在すべき領域を考慮した体積の拘束条件も追加できます。フィーチャーはSMARTSパターンを組み合わせて官能基や原子種を厳密に指定できます。

ファーマコフォアスキーム
ファーマコフォアスキームは、使用するフィーチャーのセットを定義します。目的により、8種類のファーマコフォアスキームを使い分けることができます。
拡張ヒュッケル法を用いたファーマコフォアアノテーション(EHTスキーム)
EHTスキームは、拡張ヒュッケル法を用いて各原子における水素結合供与体性と水素結合受容体性の強さを見積もります。強さの計算には置換基や電子的な効果も考慮されます。ハロゲン結合やCH-O相互作用も取り扱えます。水素結合エネルギー値や仮想的な受容体の強さを指定して、期待した相互作用を満足する化合物を検索できます。
共通特性の自動抽出
複数の化合物に共通する特性の立体配置を自動的に検出してファーマコフォアモデルを構築できます。活性/不活性の情報を追加することで、分類能の高いフィーチャーやファーマコフォアを選抜できます。
Pharmacophore Consensus
化合物の重ね合わせから共通する特性を対話的に抽出してファーマコフォアモデルを構築します。Flexible Alignmentの重ね合わせ結果や、共通部分構造などでアラインメントされたデータベース中の分子から、重なり合いの良い特性を自動的に抽出します。
Pharmacophore Elucidation
複数の活性化合物について配座解析を行い、それぞれの配座から得られるフィーチャーを基準に分子を重ねあわせることで妥当なファーマコフォアモデルを構築します。

ファーマコフォア検索
ファーマコフォアモデルを満足する化合物を配座解析データベースから高速に検索します。検索条件として、ファーマコフォアモデルの部分一致や必須フィーチャーなど条件指定が可能です。検索結果はファーマコフォアモデルに重なった座標配置で保存できます。
データベース検索に使うクエリには一致度の条件を設定するパラメータがあり、全ての官能基を一致させるだけでなく、部分的に重なる化合物を検出するオプションを選択することもできます。サイズの大きなデータベースを他のユーザーと共有するため、共有サーバーにデータベースを集約し、検索ジョブを共有サーバーで行い、検索結果の閲覧をローカルマシンのMOEで行うことができます。
拡張ヒュッケル法を用いて、水素結合ドナー性やアクセプター性の強度や、水素結合エネルギーの閾値を設けた検索も可能です。

リードライク化合物データベース(低分子配座解析データベース)
35以上の試薬提供会社のカタログから収集したlead-like化合物の配座解析データベースが付属します。ファーマコフォア検索を用いたスクリーニングが可能です。データは約65万化合物で1分子当たり平均70配座、全体で4500万以上の配座が収録されています。
高速配座解析
ファーマコフォア検索では、フィーチャーの3次元配置が適合する化合物を検索するため、あらかじめ化合物の配座を計算しておく必要があります。Conformation Importは、化合物をフラグメントに分割し、各フラグメントについて配座解析を行い、それらのフラグメント配座を結合することで化合物の安定配座を高速に発生させます。さらに、塩・溶媒などの削除、Lipinski rule(分子量、logP、水素結合供与体・受容体数など)のような分子フィルターを適用することで、試薬カタログ等のデータをそのまま使用して、簡単に目的とするデータベースを作成することが可能です。
MOEに付属しているデータベースとして、化合物カタログなどから収集しConformation Importにより計算された約65万件のリードライク化合物(約4500万配座)の配座解析データベースを提供しています。
医薬品設計におけるファーマコフォアモデルの活用
ファーマコフォアモデルは、従来から行われている化合物ライブラリーの検索、ドッキングおよびフラグメントベースの薬物設計におけるフィルター、およびリガンド配置の拘束に使用することができます。ファーマコフォアモデルファイルは、QSARおよびフィンガープリントモデルと組み合わせてユーザー定義のコンセンサスモデルを作成できます。

title:{コンビナトリアルライブラリーの生成}
化学反応ルールに基づくバーチャルライブラリー構築機能が搭載されています。反応式ファイル(.rxn/.skc/.rdf)とBuilding Block試薬データベースを指定することで、反応式に記載された反応物を試薬データベースの中から自動的に検索し、該当の生成物を構築します。記述子、QSARモデル、ファーマコフォアなどの2D/3Dフィルターを適用し満足する生成物のみ出力できます。本機能にあわせて一般的な反応式と試薬データベースも提供されています。 反応式は2Dスケッチャーを用いて編集可能です。
