MOLSIS 創薬DXセミナー 2026

-多様化する創薬モダリティを支えるデジタル技術-

創薬研究は低分子医薬を超えて、多様な創薬モダリティへと拡大しています。抗体医薬、抗体薬物複合体(ADC)、核酸医薬、ペプチド、さらには細胞治療に至るまで、創薬モダリティごとに求められるデータの種類や管理方法、安全性評価は大きく異なります。これら次世代モダリティの研究を成功に導くには、最新のAI技術やデータベースを活用した候補分子探索、統合的な研究データ管理、非臨床から臨床までの一貫した安全性評価システムが不可欠です。

本セミナーでは、東京科学大学の大上 雅史先生をお招きし、次世代モダリティ研究技術についてご講演いただきます。 また、弊社アプリケーションサイエンティストから、各創薬モダリティに対応した研究支援ソフトウェアの最新事例をご紹介します。 創薬の未来を切り拓く多様な創薬モダリティと、それを支えるDXの可能性について議論する場として、広く研究者・企業の皆様にご参加いただければ幸いです。

創薬研究支援システムの最新情報をご提供いたしますので、是非とも多くの方のご参加をお待ち申し上げます。

~ライブデモンストレーション~
本セミナー終了後、ここで紹介するBeaconDISGENETMOESafetyVista、 CDD Vault のデモを行います。実際のソフトウェアの画面をご覧いただきながら、各製品担当者がご説明いたしますので、 ソフトウェアの操作性や講演内で触れられなかった機能など、詳しく知りたいという方はぜひご参加ください。

日時

2026年2月18日 水曜日

開催形式

オンライン(Zoomウェビナー)

参加費

無料

プログラム

時間 タイトル 講演者
13:00-13:10 はじめに
13:10 - 13:40 AlphaFoldは創薬の役に立つのか?~マルチモダリティ創薬への挑戦 東京科学大学
大上 雅史
要旨
13:40-14:10 グローバル創薬動向データベースによる次世代モダリティの開発戦略支援
― Beaconによるグローバル創薬動向の可視化 ―
株式会社モルシス
木村 嘉朗
要旨
14:10-14:40 疾患と遺伝子・変異情報を統合した標的探索支援
― DISGENETによる疾患理解の深化 ―
株式会社モルシス
阿部 紘一
要旨
14:40-15:00 休憩
15:00-15:30 多様化する創薬モダリティに対応するMOEの分子モデリング機能
― MOEによる多様なモダリティ創薬のための先進的モデリングアプローチ ―
株式会社モルシス
宮口 侑生
要旨
15:30-16:00 次世代モダリティにおける安全性評価とリスクマネジメントの可視化
―SafetyVistaによる統合的アプローチ―
株式会社モルシス
東田 欣也
要旨
16:00-16:30 研究データ管理とAI解析を融合した創薬DX基盤
― CDD Vault AI機能などによる次世代モダリティ研究支援 ―
株式会社モルシス
福田 智美
要旨
16:30-16:40 閉会のあいさつ
16:40-17:40 ライブデモンストレーション

AlphaFoldは創薬の役に立つのか?~マルチモダリティ創薬への挑戦

大上 雅史 (東京科学大学)

 2024年のノーベル化学賞でも話題となったAlphaFold。タンパク質の立体構造を手軽に予測できるようになり、予測された構造に対してリガンドドッキングなどの手法を適用することが可能となった。また、AlphaFold3では低分子や核酸などとのヘテロ複合体構造 (co-folding) も予測できるため、AlphaFoldは創薬に役立つツールとして注目されている。しかし、AlphaFoldの構造をそのまま信頼して分子設計に利用してよいのだろうか?果たして、AlphaFoldは本当に創薬の役に立つのだろうか?
 この問題に答えるのは容易ではないが、我々はAlphaFoldを活用した分子設計に有用なノウハウを研究してきた。例えば、未知のタンパク質間相互作用を予測する技術「SpatialPPI」、AlphaFoldのoutputを制御するためのパラメータ探索技術やinputの工夫、リガンドドッキングとco-foldingを組合せた高速なアフィニティ推定技術「Boltzina」など、AlphaFoldを一つのツールとして分子デザインフローに組み込むための方法を報告している。リガンドデザインのための初期構造としての信頼性も平均的なPDB構造に比肩しそうである。また、特定の抗原に対するモノクローナル抗体のde novoデザインにも、AlphaFoldや周辺のAI技術が活用できそうである。さまざまなモダリティに対して、計算の手が届くようになりつつあり、複数のモダリティを並行して考えていくマルチモダリティ創薬が進みつつある。
 日々、論文やpreprintで新たな計算技術が次々と報告される時代となったが、その中で創薬に真に有用な技術を見極め、あるいは自ら開発し活用していくことが重要である。AlphaFoldはその一つのきっかけに過ぎない。今後は、AI・計算科学・実験科学が密接に連携し、新たな研究基盤を築いていくことが求められていくだろう

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グローバル創薬動向データベースによる次世代モダリティの開発戦略支援
― Beaconによるグローバル創薬動向の可視化 ―

木村 嘉朗 (株式会社モルシス)

 次世代モダリティの研究開発が加速する中で、疾患や標的、モダリティ別の開発動向を俯瞰的に把握することは、研究テーマの選定や開発戦略立案においてますます重要になっています。Beaconは、世界中の創薬パイプライン、標的、臨床試験、企業提携情報を体系的に収載し、グローバルな創薬動向を把握するためのデータベースです。本講演では、抗体医薬、ADC、核酸医薬、ペプチドなどの次世代モダリティ領域における疾患別・標的別トレンドや開発フェーズ分布の可視化例を紹介し、研究者が自らの研究テーマを世界的な開発動向の中でどのように位置づけられるかを示します。さらに、疾患別・標的別情報の探索から、他の研究支援ツールとの連携による創薬DXの活用まで、Beaconがもたらすデータ駆動型研究支援の可能性を解説します。

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疾患と遺伝子・変異情報を統合した標的探索支援
― DISGENETによる疾患理解の深化 ―

阿部 紘一 (株式会社モルシス)

 創薬研究の初期段階では、ゲノム情報に基づく疾患の分子機構を深く理解し、有望な標的を見出すことが極めて重要です。近年、ゲノム解析技術の進展により疾患に関連する膨大な遺伝子情報が蓄積されています。しかしながら、この情報は複数の公共データベースや文献に分散しており、限られた時間で最適な情報にアクセスすることは困難です。
 DISGENETは、複数のデータソースに分散した疾患や遺伝子、変異、医薬品などの情報を統合したデータベースです。膨大なデータの中から目的の情報を効率的に取得することで、疾患メカニズムの理解や標的候補の発見を支援します。
 本講演では、DISGENETの特徴を紹介し、疾患・標的・変異の関連性を可視化することによって、次世代モダリティ研究における疾患理解をどのように深化させられるかを解説します。また、研究者が自らの領域における新たな知見を得るための基盤としてのDISGENET活用例も提示します。

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多様化する創薬モダリティに対応するMOEの分子モデリング機能
― MOEによる多様なモダリティ創薬のための先進的モデリングアプローチ ―

宮口 侑生 (株式会社モルシス)

 創薬の対象は、低分子から抗体、ペプチド、核酸、さらには複合体へと拡大しており、モダリティごとに異なる構造特性や相互作用を精度高く評価できる解析環境が求められています。MOE(Molecular Operating Environment)は、分子設計、ドッキング、分子動力学、相互作用解析、配座探索など、創薬研究を支える包括的な分子モデリングプラットフォームです。近年では、抗体モデル構築、ペプチド立体構造最適化、核酸の相互作用評価など、多様なモダリティへの応用範囲がさらに広がっています。本講演では、MOEの最新機能と代表的な応用事例を紹介し、次世代モダリティ研究における構造解析・相互作用設計をどのように支援できるか、創薬DXの基盤技術としてのMOEの役割を解説します。

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次世代モダリティにおける安全性評価とリスクマネジメントの可視化
―SafetyVistaによる統合的アプローチ―

東田 欣也 (株式会社モルシス)

 抗体医薬、ADC、核酸医薬などの次世代モダリティは、高い標的特異性、種差の問題、免疫原性、または複雑な分子構造などにより、従来の低分子医薬とは異なる安全性評価の視点が求められています。研究開発が高度化する一方で、毒性や医薬品有害事象に関する情報は多様なデータソースに分散しており、リスク要因を迅速かつ的確に把握することが課題となっています。
 SafetyVistaは、創薬における安全性関連データを統合的に可視化し、安全性情報の比較分析やリスクプロファイルの作成を支援するプラットフォームです。本講演では、次世代モダリティの研究開発においてSafetyVistaがどのように安全性評価を支援し、データ駆動型のリスクマネジメントを実現するかについて、具体的なユースケースとともに紹介します。

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研究データ管理とAI解析を融合した創薬DX基盤
― CDD Vault AI機能などによる次世代モダリティ研究支援 ―

福田 智美 (株式会社モルシス)

 創薬研究においては、膨大な実験データを統合的に管理し、多様な創薬モダリティに対応した創薬DX基盤を構築することが求められています。CDD Vaultは、クラウド上で研究データの登録・検索・共有を行えるデータ管理プラットフォームとして広く利用されており、研究情報の一元化とコラボレーションによる創薬DMTAサイクルの効率化を支援します。
 さらに、CDD Vaultに最近導入された創薬向けAI機能により、タンパク質構造予測やリガンドドッキング解析をクラウド環境で直接実行できるようになりました。これにより、ユーザーは特別なAI知識や計算環境を準備することなく、CDD Vault上で実験データとAI解析結果を一体的に可視化・活用できます。本講演では、AI機能による次世代モダリティ研究への活用例と、研究データ管理とAI解析を統合することで実現する新しい創薬DXの形を紹介します。

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